行政書士試験対策民法
【民法の基本】時効とは何か?5年・10年・20年の違いをわかりやすく解説
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時効とは何かを、民法の基本からわかりやすく解説。5年・10年・20年の違い、援用、完成猶予、更新まで、初学者にも理解しやすく整理します。
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「時効」という言葉はよく聞くものの、実際には何がどうなる制度なのかを正確に説明できる人は多くありません。
結論から言えば、時効とは、一定期間が過ぎたことで権利が消えたり、逆に権利を取得したりする制度です。民法ではとくに「消滅時効」が重要で、お金を請求する権利などを長く放置すると、請求できなくなることがあります。2020年4月1日に施行された民法改正で、時効のルールはかなり整理されました。
時効とは何か
時効を一言でいえば、長年そのままにされた法律関係を、いつまでも不安定なままにしないための仕組みです。
例えば、貸したお金を何年も請求しないまま放置していると、相手方としては「もう終わった話ではないか」と考えるのが普通です。そこで法律は、一定期間が経過した場合に、権利関係を確定させる仕組みを用意しています。
今の民法では何年で時効になるのか
現在の民法では、債権は原則として、
①権利を行使できることを知った時から5年、
または
②権利を行使できる時から10年
のいずれか早いほうで消滅時効にかかります。
要するに、請求できると分かっているのに長く放置すれば5年、仮に知らなかったとしても、請求できる状態になってから10年たてば時効の問題が出てくる、というのが基本です。従来あった職業別の短期消滅時効は、2020年改正で廃止されました。
「時効=自動で終わる」ではない
ここは誤解が多いところです。
時効は、期間が過ぎたからといって、何もしなくても自動で裁判所が認めてくれるわけではありません。 民法145条は、時効は当事者が援用しなければ、裁判所がそれを前提に裁判できないとしています。
つまり、時効が完成していても、相手がそれを主張しなければ、そのまま請求が認められる余地があります。試験でも実務でも、この「時効は援用が必要」という点は基本中の基本です。
不法行為の時効は少し別ルール
交通事故や暴行、名誉毀損など、不法行為に基づく損害賠償請求は、一般の債権と少し違います。
法務省の説明資料では、不法行為による損害賠償請求権は、原則として損害及び加害者を知った時から3年、また不法行為の時から20年と整理されています。さらに、生命・身体の侵害による損害賠償請求権については、保護の必要性が高いため、知った時から5年へ長期化する特則が設けられています。
請求すれば時効は止まるのか
これも雑に覚えると危ないところです。
昔は「時効の中断」という言い方が有名でしたが、現在は整理されて、完成猶予と更新という考え方になっています。裁判上の請求などがあると、時効の完成が猶予され、その後に新たに進行します。他方、催告、つまり内容証明などで「払ってください」と求めるだけでは、基本的にそれだけで完全にリセットされるわけではなく、6か月以内に訴え提起などをしなければ足りないという扱いです。
実務で大事なのは「古い債権は法改正前か後か」
ここも見落としやすい点です。
2020年4月1日に改正民法が施行されましたが、それ以前に発生した債権には、改正前のルールが適用される場合があります。つまり、「今は5年だから全部5年」と機械的に考えるのは危険です。いつ発生した権利なのか、どの法律が適用されるのかを先に確認しないと、判断を誤ります。
まとめ
時効は、ただ年数を暗記するだけでは足りません。
大事なのは、次の4点です。
- 今の民法の原則は、知った時から5年・行使できる時から10年
- 時効は完成しても、援用しなければ使えない
- 不法行為や生命・身体の侵害には別ルールがある
- 2020年4月1日より前の権利は、旧法の確認が必要
時効は、行政書士試験や法律初学者にとって、地味ですが非常に重要なテーマです。
条文だけを見ると固いですが、ポイントは意外に単純です。「いつから数えるのか」「何年か」「援用が必要か」。まずはこの3点を押さえるだけで、理解はかなり進みます。
